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東風(こち)吹かば

気に入らぬ 風もあろうに 柳かな

自己欺瞞






先日、TVで防犯グッズの特集を見ている時のこと。
最近流行りのポータブル・ミュージック・プレイヤーを聴きながら歩いていると、
周囲の音が聞こえないというのだ。

インタビューに答えた女の子が話していた。
「音楽を聴いて明るい気持ちになっていたら、暗いのが怖くないから」


愕然とした。


チベットのあるラマが、現代社会を指して
「神経症的な、あるいはパラノイア的な狂騒」とおっしゃった。

自我(エゴ)は「その自己に快楽を与え、苦しみから守ろうとするのだ。
日々の体験は、私たちに自己の無常さをさらけ出す脅威をたえまなく与える。
そこで、私たちは自分の真の状態を見出すあらゆる可能性を覆い隠そうとあがくのだ。」

「私たちは自分の混乱した世界観に完全に飲み込まれ、
それがリアルな、存在しうる唯一の世界だと信じ込んでいるからだ。
固定して継続的な自己という感覚を維持しようとするこのあがきこそ、
エゴの行為に他ならない。」(チョギャム・トゥルンパ『タントラへの道』)



通り魔的な犯罪のような自己の無常さをさらけ出す脅威に対して
自分自身(自己)を継続しようとする危険回避本能を放棄してしまうくらい
自己の土台である無(空性)への怖れの方が大きいというのか?
暗闇恐怖の方が本能よりまさっているのか?


自己欺瞞を勝ち取った自我(エゴ)は、その策略によって
私たちの世界を何処に向かわせようとしているのだろう。





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